本日の名言
百の頂に百の喜びあり
発言者:田久弥(日本の登山家・作家)
田久弥さんってどんな人?
- 生没年: 1903年〜1971年(享年68)
- 出身地: 石川県加賀市
- 職業: 小説家、随筆家、登山家
【主な経歴・実績】
- 東京帝国大学文学部哲学科在学中から文筆活動を始め、戦前は鎌倉文壇などで小説家として活躍。
- 生涯を通じて国内外の山々を愛し、日本山岳会副会長なども歴任。
- 1959年から雑誌で連載を開始し、1964年に刊行した名著『日本百名山』で第16回読売文学賞を受賞。山の自然だけでなく、歴史や風土、登った者のドラマを織り交ぜた独自の山岳文学を確立した。
- 1971年3月、登山中(山梨県の茅ヶ岳)に急逝。墓碑には「読み、歩き、書いた」という言葉が刻まれている。
私の説明
おはようございます。
2026年8月11日
今日、8月11日は「山の日」。
「山に登るのは好きですか?」と聞かれたら、答えは人それぞれかもしれません。本格的な登山リュックを背負って険しい岩肌を登るのが好きな人もいれば、整備されたハイキングコースで木漏れ日を浴びるのが好きな人、あるいは、冷房の効いた部屋から遠くの山並みを眺めるのが一番の贅沢だという人もいるでしょう。
私たちはどこかで、「山」というと、ただ高くそびえ立つ自然の岩や土の塊を思い浮かべがちです。しかし、日本の登山界の巨峰であり、『日本百名山』を遺した作家・深田久弥は、山についてこんな素敵な言葉を残しています。
「百の頂に百の喜びあり」
この言葉に出会ったとき、私はハッとさせられました。そして、山という存在が、単なる「登るべき目標」ではなく、もっと深くて温かいものに感じられたのです。
今日は「山の日」という絶好の機会に、この名言に込められた意味を紐解きながら、山が教えてくれる景色と、私たちの日常に通じる「喜びのカタチ」について少しだけ考えてみたいと思います。
二つとして同じ山はない。それぞれの山が持つ物語
深田久弥氏が遺した『日本百名山』は、単なる山のガイドブックではありません。それぞれの山が持つ歴史、気候、植物、そして何より「その山に登った者にしか分からない味わい」が、情感豊かな筆致で描かれています。
彼のこの名言には、「世の中に同じ山が二つとないように、一つの山頂に立ったときの感動も、二つとして同じものはない」という深い真理が込められています。
たとえば、北アルプスの荒々しい岩稜を這うようにして登り詰めたときの、胸がすくような達成感。なだらかな稜線を辿る里山で、足元にひっそりと咲く小さな高山植物を見つけたときの優しい驚き。汗を流しながら一歩一歩踏みしめた先で迎えてくれる、雲海の彼方の日の出。
標高の高さや難易度に関係なく、すべての山には、その山ならではの表情と、そこでしか味わえないドラマがあります。だからこそ、「百の山があれば、百通りの喜びがある」のです。
私たちの日常という「山」にも、それぞれの喜びがある
ここで少し視点を変えて、私たちの日常に目を向けてみましょう。
日々の生活や仕事、取り組んでいるプロジェクトや日々の営みは、ある意味で「小さな山登り」の連続です。時には目の前に高い壁が立ちふさがり、「どうしてこんなところに来てしまったんだろう」と途方に暮れる日もあるかもしれません。
スムーズに進むことばかりではなく、むしろ予想外のトラブルに汗をかき、立ち止まり、試行錯誤しながら一歩ずつ進むことの方が多いのが現実です。
しかし、深田久弥の言葉を借りるなら、私たちが向き合っているそれぞれの「山(課題や目標)」にも、そこにしかない独自のプロセスと、そこならではの喜びが必ず隠されているはずです。
誰かと比べる必要はありません。SNSで見かける誰かの華やかな「山頂」と自分を比べて、「自分はまだ低い丘にいるな」と焦る必要もないのです。
あなたが今、汗を流しながら向き合っているその道には、あなただけの景色が広がっています。うまくいかなかった経験も含めて、そのプロセスそのものが、あなただけの「百の頂」の一つなのだから。
山の日を、自分なりの「頂」を味わう一日に
今日、8月11日の「山の日」は、必ずしも重いザックを背負って本格的な山に登らなければならない日ではありません。
- 忙しい手を少しだけ止めて、窓の外の空や遠くの山並みに目を向けてみる。
- 最近自分が乗り越えた小さな出来事や、ホッと一息つけた瞬間のコーヒーの美味しさを噛み締めてみる。
- これから挑戦してみたい「新しい山(目標)」に思いを馳せてみる。
どんな過ごし方であっても、自分なりの視点で「山」を感じられたなら、それはもう立派な山の日の味わい方です。
同じ山は二つとない。そして、あなたの人生という道のりもまた、世界に二つとない唯一無二のものです。
今日という一日が、あなたにとっての「新しい頂」を見つける、心豊かな時間になりますように。