本日の名言
俗に所謂(いわゆる)貧すれば鈍するとの言(げん)は、
心理学上の事実にして亦(また)経済学上の原理なり。
富者益々(ますます)富めば貧者は愈々(いよいよ)貧なり。
発言者:内村鑑三(明治~大正のキリスト教思想家)
内村鑑三さんってどんな人?
明治・大正期を代表するキリスト教思想家、伝道者、聖書学者です。日本独自のキリスト教である「無教会主義」を提唱しました。英文で著した『代表的日本人』は世界に日本人の精神を紹介した名著として知られます。不敬事件や日露戦争時の非戦論など、自らの信念を曲げずに社会の歪みに警鐘を鳴らし続けた、硬骨の知性です。
私の説明
おはようございます。
2026年3月14日
「お金がないと、心まで余裕がなくなる」 そんな経験はありませんか? 明治時代の思想家・内村鑑三は、この現象を個人の性格の問題ではなく、「科学的な法則」であると断言しました。
「俗に所謂(いわゆる)貧すれば鈍するとの言は、心理学上の事実にして亦(また)経済学上の原理なり。富者益々(ますます)富めば貧者は愈々(いよいよ)貧なり。」
少し難しい言葉ですが、今の私たちにも突き刺さるこの名言をわかりやすく紐解いてみましょう。
1. 「貧すれば鈍する」は、脳の仕組みである
内村は、貧しさが知恵や判断力を奪うことを「心理学上の事実」だと言いました。 現代の科学でも、これは証明されつつあります。
- 余裕がないとIQが下がる: 明日の支払いや食べ物のことばかり考えていると、脳の「リソース」がそこに占領され、長期的な計画を立てる能力が一時的に低下します。
- 「鈍」は責められるべきではない: 判断ミスが増えるのは、その人が怠慢だからではなく、極限状態に置かれた脳の正常な反応(エラー)なのです。
2. 格差は放っておくと「加速」する
もう一つのポイントは「経済学上の原理」という言葉です。 内村は、「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」という格差の拡大を指摘しました。
- 資本の力: お金がある人は、それを投資してさらに増やせます。
- 貧困の罠: お金がないと、教育や健康に投資できず、結果としてさらに低賃金から抜け出せなくなります。
これを個人の努力不足として放置すると、格差は自然に閉じることはなく、どんどん開いていく一方なのです。
3. 社会の「目詰まり」を解消するために
江戸幕府が滅んだ理由(野口氏)や、貧困が巨大な敵である理由(藤田氏)とも共通しますが、内村鑑三が伝えたかったのは、「この連鎖を止めるのは社会の役割だ」ということでしょう。
「貧すれば鈍する」という状態に追い込まれた人に、「もっと賢く生きろ」と説教するのは酷な話です。まずは、心理的・経済的な「余裕」を取り戻せる環境を作ること。それが、社会全体の「知恵」を守ることにも繋がります。
まとめ:心と経済を守るために
内村鑑三の言葉は、貧しさを「その人の内面の問題」に押し込めるのではなく、「科学的・経済的な課題」として冷静に見つめる目を与えてくれます。
- 貧困は心を縛り、判断を鈍らせる。
- 格差は自動的には止まらない。
この事実を認めることから、本当の意味で誰もが心豊かに暮らせる社会への第一歩が始まるのかもしれません。