本日の名言
男と女がともに棲(す)んで仲よく過ごすということは、一面、たいへんむつかしいことで、細心の注意が要(い)る。
そして絶えず、椅子は一つしかないと思いめぐらし、相手の気持ちを思いやり、自分は先にその椅子をぶんどったりしない。
双方、そのつもりでいれば長つづきするんじゃないか、と思うが……まあ、現実は中々むずかしい。
発言者:田辺聖子(小説家・エッセイスト)
田辺聖子さんってどんな人?
1928年(昭和3年)~ 2019年(令和元年))は、ユーモアと情愛に満ちた独特の筆致で知られる、日本の小説家です。本名は田辺 聖子(たなべ きよこ)。
1928年、大阪市に生まれ、相愛女子専門学校(現・相愛大学)を卒業しました。卒業後は旋盤メーカーに勤務しながら小説を執筆し、1956年に『魔女』で文壇に登場します。
1964年に発表した『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』で芥川賞を受賞し、作家としての地位を確立しました。その後、現代女性の心理や恋愛を軽妙に描きながら、日本の古典文学を現代的な視点で再解釈した作品を数多く発表しました。特に、源氏物語を現代語訳した『新源氏物語』や、古典を題材にした小説は大きな人気を博しました。
彼女の作品は、現代小説の他に、古典からエッセイ、評伝、童話まで多岐にわたり、生涯にわたって旺盛な創作活動を続けました。
主な受賞歴には、谷崎潤一郎賞(『ひねくれ一茶』)、野間文芸賞(『姥ざかりの花の旅籠』)、そして2000年には文化功労者、2008年には文化勲章を受章しています。
私の説明
おはようございます。
2026年1月29日
はじめに
小説家・エッセイストとして、恋愛や人間関係の機微を深く描いた田辺聖子氏。彼女が語る、男女が仲良く長く暮らすための秘訣は、とてもシンプルでありながら、本質をついています。
男と女がともに棲(す)んで仲よく過ごすということは、一面、たいへんむつかしいことで、細心の注意が要(い)る。
そして絶えず、椅子は一つしかないと思いめぐらし、相手の気持ちを思いやり、自分は先にその椅子をぶんどったりしない。
双方、そのつもりでいれば長つづきするんじゃないか、と思うが……まあ、現実は中々むずかしい。— 田辺聖子(小説家・エッセイスト)
この名言は、夫婦やカップルが、日々の生活の中でいかに「思いやり」を実践すべきかを示してくれます。
💡 この名言のポイント解説:「たった一つの椅子」の教え
田辺氏の言葉の核心は、「椅子は一つしかない」という比喩(ひゆ)にあります。
1. 「椅子は一つしかない」が意味するもの
ここで言う「椅子」とは、文字通りの物理的な椅子ではありません。これは、二人で生活する上での「優位な立場」「楽な状況」「都合の良い条件」といったものを象徴しています。
- 時間: 「自分の好きなように使える時間」
- 権利: 「自分の意見が通る権利」
- 快適さ: 「暖房の効いた快適な場所」「テレビのリモコンを握る権利」
- 心の余裕: 「今すぐ休みたいという要求」
日常生活の中では、この「快適さ」や「優先権」は、同時に一人分しか存在しない場面が多くあります。
2. 「ぶんどったりしない」ことの重要性
人は誰でも楽な方に流れがちです。もし、常に自分が先にその「たった一つの椅子」を奪おうとすればどうなるでしょうか?
- 「自分が先に休む」 → 相手の疲れを無視することになる。
- 「自分の意見を押し通す」 → 相手の感情や考えを否定することになる。
これを続けると、必ず相手は不満や不公平感を感じ、「この人とは一緒にいられない」となってしまいます。
思いやりとは、「先に座りたい気持ち」を自ら抑え、相手に譲るという「自制心(じせいしん)」の現れなのです。
3. 「双方、そのつもりでいる」ことの難しさ
田辺氏はこの教えの最後に、「まあ、現実は中々むずかしい」と付け加えています。
なぜなら、この関係が長続きするためには、どちらか一方だけが我慢するのではなく、二人ともが「相手に椅子を譲ろう」という意識を持ち続ける必要があるからです。
- 理想の状態: 二人とも相手に譲ろうとするため、椅子は常に空いた状態になる。そして、二人で譲り合った結果、自然と公平な場所やタイミングを見つけられる。
- 現実の難しさ: 疲れていたり、余裕がないときは、つい「自分が優先!」と椅子を奪ってしまいがちです。
💖 長く続く関係のためのヒント
田辺氏のこの名言を実践するために、今日からできることを考えてみましょう。
1. 意識的に「譲る」練習をする
小さな「椅子」を譲ることから始めましょう。
- ❌(ぶんどる):「先にシャワーを浴びたいから、私から」
- ⭕(譲る):「あなたが疲れているだろうから、どうぞ先に使って」
2. 相手の「疲れ」を想像する
「椅子を譲る」のは、相手が「今、その椅子を最も必要としている」と気づくことが出発点です。相手が今日一日どんな状況だったかを想像する習慣を持ちましょう。
3. 「たまには奪っていい」と許可し合う
人間、常に譲り続けることはできません。本当に辛いときは、「ごめん、今日は私が先にこの椅子に座らせて(休ませて)」と正直に伝え、許し合うことも大切です。お互いの我慢の限界を知ることで、真の思いやりが生まれます。
🌈 まとめ
田辺聖子氏の言う「たった一つの椅子」の教えは、「愛とは、相手の快適さを自分より優先することだ」という、長続きする関係の最も大切な土台を教えてくれます。
この教えを心に留めて、大切な人との日々をより温かいものにしていきましょう。